FACT OR FICTION ?  2005 / 08 / 20 
「駅伝は、日本が生んだ素晴らしい競技である」

上の第10回世界選手権(=ヘルシンキ世界陸上)が閉幕した。男子マラソンでは、尾方剛選手が銅メダルを獲得するという、嬉しいニュースもあった。

実は、今回の男子マラソン日本代表の6人(補欠の松宮選手を含む)のうち、大学時代に箱根駅伝を走った経験を持つ選手は、たった1人しか居ない。残りの5人は、関西の大学に進学したり、高校卒業後に社会人に進んだりして、箱根を積極的に回避した、いわゆる「箱根回避組」である。

ただ1人、銅メダルを獲得した尾方選手は、山梨学院大で2年生のときに1度だけ箱根を走っているが、その後2年間は怪我で走っていない。当時はそのストレスで相当苦しんだそうだが、私としては「箱根なんかで無理して走って壊れなくて良かったですね」と言いたくてたまらない。

つに駅伝という競技を完全否定したい訳ではない。だが、ハッキリ言ってしまえば、少なくとも現在の駅伝は欠陥競技である。海外に駅伝という競技が浸透しないのも、全く不思議ではない。

言うまでもなく駅伝は団体競技だが、団体競技は交替要員を用意できて然るべきである。競技中に、選手の1人が怪我などで退出せざるを得なくなることがあるなんて、当たり前のこととして想定されるからだ。ところが、駅伝という団体競技は、それを許していない。誰かひとりでも怪我をすれば、チームの戦いがその時点で終わってしまう。

そして困ったことに、この「欠陥」こそが日本における駅伝人気の秘密になっているのである。毎年毎年、怪我をした選手が箱根まで何とかタスキを繋ごうとして無理をする様子にウルウルしながら、日本のスポーツファンは御節料理を食べているのだ。

障をおして走る選手、しかも将来の陸上界を担う大学生の逸材を、監督は簡単に止めることができず、みすみす潰してしまう。こんなシーンが毎年のように東京ー箱根間をはじめ、各地で繰り広げられる。こんなツライことはない。

だが、日本のスポーツファンは、「こんなことを改善せず毎年つづけるなんてオカシイ!」と声を上げるより前に、ウルウル感動してしまうのだ。

とりわけ箱根駅伝の場合は、ひとりが走る距離が半端じゃない。成長途上の選手が、怪我をおして無理して走る距離ではないのだ。人気があるからと言って箱根駅伝をそんなに続けたいのなら、ルールを変えないとダメである。

例えば、怪我をした選手が無理をして走るよりは早いタイムになるペナルティを課した上で、走者の交代を認めれば良い。そんな工夫すらできないのなら、箱根駅伝なんて即刻廃止すべきである。

本代表のエースとして今回の世界陸上に臨んだ高岡寿成選手は、「東京の大学に行ったら箱根でつぶされる」と周囲から言われ、京都の大学を進路に選んだ。

そんな箱根回避組は、実はここ数年は箱根組と成績にあまり差は無かった。だがここにきて、箱根を回避し、相応のトレーニングで成長してきた男子選手達が成績を(当然のように)伸ばし、中長距離の日本代表の多くを占めるようになってきたのは、全く頷ける話である。



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