2006 / 09 / 04
  女子選手を男子大会に挑戦させるべきか?

里藍、横峯さくら、諸見里しのぶ・・・日本では女子ゴルフが男子ゴルフを凌ぐほどの大人気だ。そんななか、女子選手が男子ツアーに挑戦することが世界的に「ブーム」になっている。

’03年のアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)のバンク・オブ・アメリカ・コロニアル挑戦に始まり、宮里藍も昨年末に国内男子ツアーに挑戦した。アメリカのミシェル・ウィーに至っては、スポンサーの招待などを活用して、国内外の男子ツアー参戦を「乱発」中。9月には、女子として初めてPGA欧州男子ツアー(オメガ・ヨーロピアン・マスターズ)にも出場する。

がハッキリ言って、女子選手を男子ツアーに参戦させるなんて、百害あって一利なし。もし男子ツアーで女子選手が大活躍などしようものなら、男子プロゴルフ界の威厳と人気はガタ落ちだ。 事実、昨年日本の男子ツアーに挑戦し予選落ちしたウィーが、今年5月に韓国の男子ツアーで予選通過したことで、韓国男子ゴルフは批判の声にさらされた。こんなリスクをとってまで、男子ゴルフ界が女子選手を受け入れる必要や義理など、どこにも無い。

言うまでもないことだが、スポーツの競技が男女に分かれているのは、決して女性差別ではないのだ。「女子選手には男子の大会に参加し、挑戦する権利がある」と主張するなら、「男子選手には女子の大会に参加し、挑戦する権利がある」とも主張しなければ、それこそ男性差別である。

男子選手達にも少し誇りを持ってもらいたいところだ。ウィーと回った日本男子選手が「いやぁ、やっぱり飛ばすなぁ」と感嘆のコメントを露呈するなど、誇り高きプロフェッショナルとして吐くべき台詞が聞こえてこないのだ。

目先の観客動員に目がくらみ、人気女子選手の参戦に諸手をあげてウェルカム。しかもこんな態度ばかりを晒していては少し情けない。自らの手で男子ゴルフの人気を落としているようなものだ。

ルフだけではない。たとえばこの時期は「女子の野球選手が男子と一緒に甲子園を目指せないのは可哀相」という意見も聞こえてくるが、この主張にも違和感がある。「女子野球大会も甲子園で華々しく開催するべきだ」と主張し、その実現に向けて努力するのがスジではないか。

たとえ女子に開かれていない競技であっても、女子を男子の大会に参加させろと言うのはオカシイのだ。たとえば、男子の体操競技では「段違い平行棒」はない。段違い平行棒が好きで好きでたまらない男子体操選手が出現したとしても、女子に混じって晴れの五輪で競技させてあげるべきだ、などと誰も主張しないはずだ。

子大会から女子を排除することは、ことスポーツに限っては、当然の選択肢である。幾ら世界の女王でも、女子ツアーで勝てるとは限らない。

あのソレンスタムも、7月に挙げた勝利でようやく今季2勝目。高いレベルを求めて男子ツアーに出ることよりも、女子の大会で常にきっちり勝てるよう精進することが、女子プロとしての態度ではないだろうか。

    稲見純也 JunYa Inami

<この記事は、06年7月25日発売『週刊漫画サンデー』に掲載されたものです>


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