2006 / 12 / 11
  五輪シーズンでない今季こそ、冬季競技に注目

くの冬季競技では、1発勝負で実力どおりの順番に順位が並ぶことが、滅多にない。

たとえば、上村愛子や里谷多英でお馴染みの、フリースタイルスキーのモーグル競技をみてみよう。昨季(’05〜’06シーズン)、女子モーグルのワールドカップは全11戦が行われ、総合優勝がジェニファー・ハイル(カナダ)、2位がカリー・トロー(ノルウェー)、3位がミシェル・ローク(アメリカ)であった。

ところが、全11戦のうち、この3人が揃って3位以内に入り表彰台に立ったのは、ただの1戦もない。総合優勝したハイルと総合2位のトローだけをみても、この2人がともに表彰台に立ったのは11戦中3戦だけだ。総合優勝したハイルも、11戦のうち4勝しかしていないのである。

この事実からも分かるとおり、モーグルという競技は、実力どおりにキレイに順位が並ぶことが、ほとんどあり得ないと言って良い競技なのだ。

からこそ、こういった競技はワールドカップで何戦も世界を転戦し、その結果を総合して、その年のチャンピオンを決めている。このような競技で、4年に1度の冬季五輪という1発勝負で結果を出せと期待するのは、酷である。

五輪くらいは、3本滑ったうちの2本の成績で争うといった特別な規定に変えるべきだと思うのだが、それが実現しない以上、モーグルのような競技では、五輪以外の「普段の戦い」にこそ注目して欲しいのだ。

上村愛子などは、本当に尊敬すべきアスリートである。目標に向かって諦めず、チャレンジ精神も凄まじい。ただ、そんな彼女達の目標が、ほとんど「五輪で勝つこと」だけであるという状況は、極めて不健全ではないか。モーグルは、たった30秒で競技が終わる。実力どおりの順位になる確率が極めて低い競技で、そのたった30秒のために4年間も努力することを、想像してみて欲しい。

日本では、特に寒冷地域以外では、五輪でなければ冬季競技に注目が集まらない。冬季競技が頼みのひとつとする北海道経済も不調が続き、選手達の活動や成績に打撃を与えてきた。北海道のみならず、冬季五輪に数々の選手を輩出してきた富山県の川田工業スキー部も、昨年5月に廃部となった。

五輪でしか注目されないのでは、企業としても宣伝効果は上がらない。冬季競技の選手達はスポンサーや所属企業探しに必死な状況が続いている。無論スキーだけでなく、スケートもカーリングも同じだ。

ちろん、「選手のためだから普段も注目しろ」とだけ言いたいわけではないのだ。何より言いたいのは、こういった競技では、五輪の一発勝負よりも毎年のワールドカップなどの戦いの積み重ねを観るほうが、オモシロイのではないか、ということである。 だからこそ、五輪のない今季も、これらの競技を追ってみることをおススメしたいのだ。「次の五輪を目指せ」と言う前に。

今季は青森でカーリングの世界選手権もある。モーグルは猪苗代にワールドカップがやって来る。こういったパフォーマンスに注目すれば、私達もより楽しめ、結局は五輪の好成績につながるのだ。

    稲見純也 JunYa Inami

<この記事は、11月21日発売『週刊漫画サンデー』に掲載された内容です>


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