2007 / 02 / 25
  ノルディックスキー世界選手権を「世界スキー」と呼ばせたくはない(1)

人的には、私にとって、ワールドカップを始めとするアルペンスキーの競技をテレビや現場で観ることは、毎冬の楽しみである。

アルペンスキー競技は、まず勿論、レースとして実にエキサイティングで面白い。伝統的に日本勢が強く日本で人気の高いノルディックスキーに比べても、派手な転倒シーンを始めとしてスピード感が満喫できる。

それに何と言っても、選手の個性も面白いし、強いアスリートが続々と出てくるのもたまらない。アメリカのボディ・ミラーや日本の佐々木明の攻撃的な滑りは観ていて全くあきないし、ベンヤミン・ライヒ(オーストリア)のような滑らかで雪面に引かれたレールを滑るかのような滑りには、毎回感嘆させられる。女子のアニャ・パーション(スウェーデン)の強さは今年の地元オーレでの世界選手権でも鳥肌ものであった。

ーカーとの契約上、選手達はカメラに映るたびにスキーの裏(メーカーのロゴが記されている)を殊更に見せたりする。それがイヤらしくて嫌いという向きもあるようだが、メーカーのチョイスなどを見ることにも、モータースポーツを観るかのような楽しみだってあるのだ。

92年のアルベールビル冬季五輪で、日本のヤマハのスキーを履いたフィン・クリスチャン・ヤッゲ(ノルウェー)が回転で表彰台の真ん中に立ったときは、F1で日本のエンジンがチェッカーを受けることに匹敵する、衝撃と価値があった。

そのとき私は学生だったのだが、板からグラブまでヤマハで揃えていた私自身も、歓喜したものだった。なおヤマハは、既にスキー事業から撤退。モーグルなどでは日本製の板が活躍しているが、アルペンでは主にブーツなどのみで日本メーカーが活躍している。

かし残念ながら、日本では特に、観戦競技としてのアルペンスキーの人気は、ノルディック競技に比して一般に低い。札幌で行われているノルディックスキー世界選手権を中継するテレビ朝日系列も、同大会を『世界スキー』と呼び、アルペンスキーだけではなくフリースタイルスキーの存在をも事実上無視するくらいだ。

日本人のなかで、私のような雪国育ちの人間は少数派、一般スキーヤーが少ないために、日本人はアルペン競技に親しみが持てない・・・ということは、その理由とは言えないように思える。

例えば、日本におけるジャンプの競技人口が、一般スキーヤーのうちどの程度の割合を占めるかなんて、議論するまでもない。だが日本では、ジャンプ競技の人気が高い。アルペンの人気が高いヨーロッパでも、花形種目は高速系だ。それでも、ヨーロッパの一般スキーヤーが、時速100kmでいつも滑っているわけではない。

(ただ、日本よりは高速系競技に親しみがあることは確かだろう。日本のアルペン競技が高速系で弱いのは、国内のスキー場で高速系競技に開放できるところが少ないからだ。この点、現在は解説者としてご活躍の川端絵美氏は滑降も大得意で、実に尊敬に値するスキーヤーであった)

う考えたときに、アルペンスキー競技の裾野を広げたり、観戦スポーツとしても人気を拡大するために、まだまだできる工夫がたくさんある筈で、そして少し考えるだけでたくさん思いつくのである。

(次週に続く)


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