2007 / 03 / 11
  障害者スポーツへ、積極参入の検討を

域密着型スポーツクラブは素晴らしく、企業チームは悪しき文化――なぜか日本には、そう考える向きが多い。だが、企業とスポーツの密接な関係を否定するのは、日本のみならず世界の実情から照らして考えても暴論だ。

スポーツファンなら、スポーツに資金を提供し支えてくれるスポンサー企業に、敬意を払いたい。スポーツと企業、双方に利のある関係を作ることができれば良いのだ。そんななか、ぜひ日本企業に注目して欲しいスポーツの分野がある。端的に言えば、それは「障害者競技」である。

業が従業員として選手を抱える形態の「社会人スポーツ」は、プロスポーツと比べマイナー競技であることが多い。そのため、注目を浴びるのが五輪期間だけといった競技も多い。ならば、五輪に加えパラリンピックにも着目してはどうか。日本人選手は、パラリンピックでめっぽう強い。

アテネパラリンピックでは、日本人選手は金17、銀15、銅20の実に52個ものメダルを獲得した。トリノ冬季五輪では荒川静香の金1つだけと惨敗した日本勢だが、トリノ冬季パラリンピックでは金2、銀5、銅2の計9個のメダルを獲得している。このコンテンツを見逃す手はない。

SR(企業の社会的責任)という概念も、近年は流行している。障害者を積極的に雇用し支援することは、企業にとっても、単純な広告以上の効果を期待できるはずなのだ。

障害者の立場から見ても、競技をサポートしてくれる環境を探すのは難しいのが現状である。特に障害者競技は、器具の準備や整備にも費用がかかる。まして世界で戦うには、海外に遠征しワールドカップや世界選手権などで腕を磨かなくてはならない。国内外での強化合宿も必要だ。そんななか、長野冬季パラリンピック後に、8年後のトリノに向けて用意された公的な資金は、わずか60万円だったという。専ら、ボランティアの方々の多大な力が、彼らを支えているのだ。

そこに企業が社会人チームとしての門戸を開いてくれれば、競技者にとっては実に有益だ。競技者と企業、双方の利害は一致するのではないか。

こに目をつけた企業は、実は既にある。日立システムアンドサービス(以下日立システム)だ。日立システムは’04年11月に、民間企業として日本で初めて障害者のノルディックスキー部を発足。トリノパラリンピックで金メダルを獲得したバイアスロンの小林深雪や、同じく銅メダルの太田渉子ら、実力選手を輩出した。全社員の3割以上がスキー部の後援会に所属し、彼らを支えている。インターネット等で活動をアピールし、障害者競技に対する理解を深めようとする試みもある。

実に素晴らしい取り組みではないか。金メダル獲得という確たる実績も残した。企業にとっての宣伝効果も計り知れない。日立システムによれば、同社のスキー部の運営費には年間五千万円もの費用が必要だそうだが、見返りも大きいはず。ぜひ、こういった企業が増えることを期待したい。

    稲見純也 JunYa Inami

<この記事は、2月13日発売『週刊漫画サンデー』に掲載されたものです>


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