2007 / 04 / 30
  ベストメンバーを出せというルール

リーグのリーグ戦と並行して行われているナビスコ杯で、柏レイソルが「控え選手」を大量に出場させ問題となっている。4月4日の大宮戦で、先発メンバーをリーグ戦と全員入れ替えたのだ。

Jリーグ規約第42条に、「公式戦では、直前のリーグ戦5試合のうち1試合以上先発した選手を、6人以上先発させなければならない」という規定がある。要するに、「ベストメンバーで戦いなさい」というルールだ。だが4月4日時点でJリーグは4試合しか消化しておらず、このルールの適用外だった。鬼武健二チェアマンらは、この間隙を衝いた柏の石崎監督の采配に不快感を示している。

しかし、である。この柏の戦略を問題視すること、ひいてはこんなルールが存在すること自体、ナンセンスではないか。

の11人がベストか、それを決めるのは監督だ。相手によって戦略やシステムは変わり、出場すべき選手だって変わるのは当然である。4月4日のゲーム、柏は大宮に0−0と引き分けた。このメンバーだったから引き分けにできたのかも知れない。そんなこと誰にも分からないのだ。なのに、直前の数試合に出場した選手が最善の人選だと決め付けるこのルールは、実にナンセンスである。

集団食中毒で、主力選手が一斉にお腹を壊したらどうする。このルールを守るために腹を押さえながらピッチに立つ6人が、ベストメンバーだと言うのか。それに消化試合なら、若手を先発させるのも立派な戦略のひとつである。育成のため若手に経験を積ませる妨げになれば、日本サッカーのレベルも底上げできない。

が、もっともっと根本的な問題がある。「ベストメンバーで戦いなさい」というルールがあるという時点で、おかしな運営をしている証拠なのだ。わざわざこんなルールを作る必要があるということは、「各クラブが主力を温存したくなるような、ナビスコ杯のような意義の小さな大会を、過密日程でやっているんですよ」と、自ら暴露しているのである。

つまり、ナビスコ杯というカップ戦の存在意義自体が、そもそも疑問なのだ。天皇杯もそうだが、そろそろこれらカップ戦の存続を見直すべきではないか。タイトルを乱立させることで、最も重要なリーグ戦の盛り上がりも薄めているし、過密日程が各クラブに負担を強いている。

カップ戦では主力を温存したいというのが、やはりクラブ側の本音だろう。4月4日に大量の控え選手を出場させたのは柏だけではなかったし、過去のナビスコ杯や天皇杯でも、主力を温存するクラブの姿勢が散々問題視されてきた。こんなカップ戦、廃止したって惜しくもない。

や、いっそのこと、現行とは反対に「カップ戦ではベストメンバーを出すな」というルールにして、野球で言うウィンターリーグのような若手育成の場に切り換えてはどうだろう。ベストメンバーを出せというルールがない欧州のカップ戦も、若手育成の場として活用されているのが実情ではないか。

…いずれにせよ、カップ戦の存在意義を見直すべき時期だということだけは、間違いなさそうだ。

    稲見純也 JunYa Inami

<この記事は、4月24日発売『週刊漫画サンデー』に掲載されたものです>


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