2007 / 05 / 14
  歪曲されて語り継がれる事実に気をつけよう

労相・柳沢伯夫氏の、「女性は子供を産む機械」という問題発言は記憶に新しい。

ところで、彼を弁護する気は全くないのだが、柳沢氏は「女性は子供を産む機械だ!」と高らかに宣言した訳ではない。あくまで、少子化問題を語る際に、機械の数が決まっているなら1台あたりの生産量を上げるしかないという「喩え話」をしたに過ぎないのだ(無論この喩え自体が不適切なのだが)。

このように、誰かの発言が微妙に誇張され、誤解されて伝わるケースは、実は結構多い。タレントの石田純一氏は「不倫は文化だ!」と発言したとされているが、実際には「不倫から小説とか映画とか、そういう文化が生まれたりもするわけで…」 とインタビューに答えただけなのだ。

じようなケースは、スポーツ界にもある。代表的なものが、’89年の日本シリーズ第3戦で、勝利投手となった近鉄の加藤哲郎がヒーローインタビューで言ったとされる、「巨人はロッテより弱い」という台詞だ。3連敗していた巨人ナインは、この年パ・リーグの最下位だったロッテより弱いと言われて発奮、4連勝して大逆転した。そのため、この加藤の発言は「歴史的暴言」として語り継がれている。

ところが、である。実は加藤は、このときのヒーローインタビューでは、「ロッテ」などと一言も発言していないのだ。「シーズン中よりも気楽に投げられたのでは?」との質問に、「シーズン中のほうがよっぽどシンドかったですからね、相手も強いし」と言っただけなのである。

むしろ、「ロッテ」という言葉を出したのは、この後ベンチ裏で談話を取った記者だ。「ロッテのほうが恐い?」と面白がって質問し、加藤も「まあ、そうですね」的に答えた。それが、ヒーローインタビューでのふてぶてしい態度と併せて、「巨人はロッテより弱い」と発言したことにされてしまったのだ。

たとえ加藤がこう発言したのだとしても、暴言どころか、プロとしての歴史的名言ではあるまいか。4連敗が決まりかけていた瀕死の巨人から本気を引き出し、日本中が注目する日本シリーズの結果をさらに引き伸ばして、収益にも大貢献したのだから!

ころで、誰かの発言だけでなく、歴史的事実も歪曲されて伝わることも、スポーツ界ではある。たとえば、サッカーが原因で起きたと言われる「サッカー戦争」だ。’69年にW杯予選で中米のエルサルバドルがホンジュラスに勝利したゲームが、2週間後に勃発した両国の戦争の原因であると一般に信じられている。

だが、この戦争の原因はあくまで、両国間の国境問題や不法滞在問題。サッカー戦争と呼ばれるのは、単に開戦とサッカーの試合が重なったからだというのが、正しい認識のようだ。少なくとも、サッカーを、戦争を引き起こす悪者扱いするのは間違いである。

新聞や週刊誌では、分かり易い見出しにするため、事実を一言で言い換えることも多い。誤った認識を持たないように、十分注意すべきだと言えよう。

    稲見純也 JunYa Inami


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