2007 / 06 / 05
  五輪の野球に真剣になるのは得策なのか

008年北京五輪の野球競技、日本代表の第1次候補60人が5月7日に発表された。ダルビッシュ有(北海道日本ハム)や田中将大(楽天)らが選出され、話題となったのは記憶に新しい。

だが、星野仙一代表監督曰く、「この60人以外から選出することもあり得る」。この60人で、合宿するでも、戦略を考えるでもない。ただ、「とりあえず60人を選んでみた」というだけなのだ。要するに今回の発表、パフォーマンス以外の意味は全く無いのである。

それを聞いた時点で、私はこの選手リストを見るのをやめた。お叱りを受けるかも知れないが、このナンセンスな60人の選手リストに誰が入っているか、私は全く覚えていないし、興味もない。

もそも、五輪の野球競技で、日本プロ野球はそんなに本気になるべきなのだろうか。サッカーも、簡単に言えば五輪は23歳以下のユース大会であるが、各国それなりにチームを編成して戦ってくるので、日本として最善を尽くし臨む意味は大きいと言える。だが五輪の野球は、世界の国々の代表が本気で挑み合う場にはなっていない。出場国の本気度に差がありすぎる。

そんな考え方もあって、私は日本プロ野球が五輪に「本気のベストメンバーで真剣に臨む」ことには、基本的に反対である。前回のアテネ五輪のときのような「各球団から2人」といった縛りをなくし、絶対的に本気なメンバーを組んで挑むことには、「それで負けたらどうする」といった、それなりのリスクがある。そのリスクをとる価値が、「五輪の野球」にあるのだろうか。しかも今回の北京五輪は、負ければ後が無いかも知れないのだ。

野球は一発勝負で実力どおりのスコアにならない、実にシビアな競技だ。日本一に輝いた昨年の北海道日本ハムも、勝率は6割、つまり10回に4回は負けている。11月から始まるアジア予選で、日本代表が敗退して本選に出られない可能性だって、十分あり得る。WBCで勝ったのは、「たまたまだ」と考えたほうが無難だ。

「五輪で日本が本気の戦いを見せることで、野球の国際普及の一助となる」などと言う意見も国内にはあるが、とんでもない勘違いだ。五輪は、競技を宣伝する場ではない。国際的に普及した競技で、世界一を競う場なのである。

ッカーの五輪日本代表は、前回に比べてスター不在などが指摘され、観客動員や視聴率も伸び悩んでいる。だがむしろ、そんな傾向のほうが自然に思える。

前回、そして今回の五輪予選で、サッカー日本代表がUAEやシリアといった中東の国々に赴いたとき、どれだけ地元のファンが応援に駆けつけていただろう。スタジアムはほとんど、青一色だったではないか。何でもかんでも、五輪が目標だなんて、どこの国もそんなに思っていないということだ。

誤解のないように言っておくが、ファンが「五輪の野球」や「五輪のサッカー」に注目することを、おかしいと言うつもりはない。日本プロ野球が五輪に寄せる期待と、五輪のなかでの野球競技の価値とが、危険な不調和状態になっているように思える、ということだ。「全ての競技の目標が、五輪であるべきだ」といった考え方に惑わされ、今後のプロリーグとしての戦略に失策があってはならない、そう思うだけなのである。

    稲見純也 JunYa Inami


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