2007 / 07 / 03
  さすがに「世界一が決まる」わけではないが、見所はあるアメフトW杯

月7日に日本(川崎市)でIFAF第3回アメリカンフットボールW杯が開幕する。過去2回のW杯の優勝国は、いずれも日本。「アメリカン」フットボールのW杯に、アメリカが参加していなかったのだ。

今回、アメリカがはじめてW杯に参戦する。といっても、NFLのスター達が来るわけではない。それどころか、NFLの選手はひとりも来ない。今年のNFLのドラフトにもかからなかった、NCAAやNAIAの大学卒業生が中心のチームとなる。

つまり、ドリームチームとはもちろん程遠く、大学選抜(というモノがもしあったとして)よりもレベルはかなり低いと言って良い。「川崎で世界一が決まる」などと言っているが、一体何の世界一が決まるというのか、コピーライターに問い詰めたい気分である。

んなアメリカ代表とは言え、アメフト名門校の出身選手も何人か居る。ドラフトにかからなかったと言っても、そういった選手が日本のXリーグで助っ人として活躍しているワケだから、真面目にやれば相当強い。下馬評もやっぱり高く、「アメフト発祥の地のプライドをかけて本気を出してくるのでは」と予想する声もある。

だが、私は当初、アメリカが本気の本気で戦うか、相当疑問だと思っていた。なぜなら、彼らにとって、そうするメリットがあまり無いような気がしたからである。

NBA(バスケットボール)は、「ドリームチーム」がバルセロナ五輪などで世界を圧倒して、国際的な人気を上げることができた。だが、今回アメフトW杯に来るアメリカ代表は、ドリームチームなどではない。大学選抜にすら及ばないチームだ。

そんなアメリカが本気で戦って、世界に差を見せ付けてしまっては、国際普及には確実にマイナスである。横綱や大関はおろか、関取ひとり居ない相撲の日本代表が世界を圧倒してしまっては、海外の競技のモチベーションも上がるまい。むしろ、わざと接線を演じるなりして、競技の面白さをアピールする方が、アメリカにとってはメリットが大きい。

ころが、だ。W杯開幕の直前になって、重要なニュースが飛び込んできた。なんと、NFLヨーロッパ(NFLEL)が、来季以降行われないことが発表されたのである。

こうなると、話は変わる。まず、NFLELがなくなれば、アメリカの若手にとっても、アピールの機会が減ることになるからだ。NFLに行けなかった選手がヨーロッパに渡る道が閉ざされた。ならば、と、W杯という限られた機会で、若手がアピールしようと必死になってくる可能性はある。

無論、CFL(カナディアン・フットボールリーグ)やAFL(アリーナフットボールリーグ)など、アメリカの若手にとってはアピールの場はまだまだ沢山ある。だが、NFLEL消滅によって、国際的にアメフトを宣伝する機会は確実に減ったわけだから、上層部がこのW杯を活用しようと思うかも知れない。代表チームに「本気指令」なんかが出るかも知れない。なんにしても、今回のW杯でアメリカ代表が本気を出す「理由」は、できたことになる。

だ、アメリカ国内に目を向けてみると、NFLのオフシーズンの話題はあっても、IFAFのW杯の話題は、未だほとんど出てこない。有名選手が全く出場しないこともあって無理もない話なのだが、ワールド・ベースボール・クラシックをはるかに凌ぐ無視ぶりである。

そんな調子で、アメリカ代表が観光気分でダラダラやれば、予選リーグで別のグループである日本は、アメリカと対戦すらせずに優勝してしまうかも知れない。それでは、せっかくの日本開催、なんとも残念なのだが…。

NFLEL廃止で、いよいよ日本人選手のNFLへの道が険しくなった。NFLにアピールする機会がなくなった。いずれにしても、今回のW杯で、死にモノ狂いで頑張らなければならなくなったのは、やっぱりアメリカ代表ではなく日本代表なのである。

    稲見純也 JunYa Inami


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