- 文化の時間 -

2005 / 3 / 16  ベースボールはアメリカの国民的娯楽か

HK衛星放送のCMかなんかで、「いよいよアメリカの国民的娯楽・メジャーリーグが開幕します」なんて言うコメントを聴くたび、毎年フツフツと疑問が湧いてくる。

客観的にみて、今のアメリカの「ナショナル・パスタイム」(「国民的娯楽」と訳されるが、本当は「国を代表する娯楽」のほうが正確)、は、どう考えたってベースボールではなくフットボールである。別にどうでも良いことではあるが、アメリカ人は一体どう考えているのだろうか?

とえばアメリカのスポーツファンが議論する、インターネット上のブログなどを流し読みするだけで、その答えは一目瞭然。ひとたび誰かが「ベースボールはナショナル・パスタイムか?」と議題を起こせば、どこのブログを見ても、「今のナショナル・パスタイムは、フットボールだ」という結論に落ち着く。

正直な話、「野球はアメリカの国民的娯楽である」とコメントしているアメリカ人は、野球関係者であることが多い。「野球はアメリカの国民的娯楽であると言われている」という文章は正しいが、「野球はアメリカの国民的娯楽である」という文章は、正確ではないということだ。

デトロイト在住の某氏は、

「ゆうべデトロイト・タイガース(MLB)がどこのチームと対戦したかなんて、誰も知らない。でも、デトロイト・ライオンズ(NFL)がフィラデルフィア・イーグルスと対戦したことも、カレッジフットボールでミシガン大学がアイオワ大学と対戦したことさえ、みんな知っている」

と言い、ある別のアメリカ人は、

「ベースボールがアメリカのナショナル・パスタイムだと言う奴を連れてきてくれたら、僕は子供の頃にお医者さんごっこをしたことのない男を連れてきてあげるよ」

などと、良くわからないが何となくわかるアメリカンジョークをかます。

」があることなど、日本では「ベースボールはアメフトと似ている」と良く言われる。だがアメリカでは、NFLとMLBの1試合の価値の違いや、プレー自体の性質の違いが「対照的」だと言われることのほうが多いらしい。そして、その違いにこそ、アメリカ人がベースボールではなくフットボールを好きになる理由がある、と。

そもそも、ベースボールが「ナショナル・パスタイム」であると言われ始めたのは、ベースボール以外に何も無かった1800年代の話。皆さんも、さっそくgoogleなんかで検索してみて欲しい。「Baseball is the natinoal pastime」と打っても、「Baseball was the national pastime」と打っても、ヒット数は同じオーダーだ。

日本でも、そろそろ「野球はアメリカの国民的娯楽である」と言うのはやめて、「野球はアメリカの国民的娯楽であった」と、言い直すべきである。「ただしニューヨークとボストンは除く」と付け加えれば、さらに正確と言えよう。

そしてそれを機会に、盲目的なメジャー礼賛主義を改めたほうが良い。

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